事例紹介

相続に関する事例

~遺言について~

私には子供が3人いますが、3年前に妻を亡くし、以後は長女が同居して私の介護や身 の回りの世話をしてくれましたので、長女にはできるだけ多くの財産を相続させたいと考 えています。遺言作成の際、どのような点に留意すればいいでしょうか。

ポイント

  • 遺言において、各相続人の相続分を指定することができますので、長女の相続分を他の相続人よりも多く指定することが考えられます。
  • 指定する相続分によっては、他の相続人の遺留分を侵害することになり、他の相続人から長女に対して遺留分減殺請求がなされる可能性があるので注意が必要です(家庭裁判所の許可を得て、予め遺留分を放棄してもらうことは可能です。)
  • 長女の寄与分について遺言の中で希望を明記しておくことが考えられます。
  • 相続人間の争いを未然に防止するため、信頼できる遺言執行者を指定しておくことが考えられます。
~遺産分割について~
先月、父が亡くなったため、今後、父の遺産について、母、私、妹の3人で分割の協議 を行う必要があります。父の遺産としては、少なくとも不動産、預金、株式があるはずな のですが、父と同居していた母と妹は、私が結婚して自宅を購入する際に父から一定の資 金を援助してもらったことを理由に、私に分けるものはないと言い、遺産の内容すら明ら かにしてくれません。 私は、父の遺産について何も言う権利がないのでしょうか。

ポイント

  • 援助してもらった資金は、父親からの贈与として「特別受益」にあたりますので、遺産分割において考慮されることになります(特別受益の持戻し)。
  • もらうべき遺産がないかは、遺産の金額によりますので、まずは遺産の内容を全て開示してもらうことが必要になります。
  • 遺産分割について協議が整った場合には、遺産分割協議書を作成し、分割の内容を具体的に定める必要があります。
  • 遺産の内容については、他の相続人の同意が得られなくても、一定の範囲で調査することが可能です。
  • 相続人間で任意での話し合いが難しい場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることが考えられます。

離婚に関する事例

~離婚について~
私と夫の間には未成年の子供がいますが、夫は他に女性ができたことを理由に離婚を求 めており、先月から別居をはじめました。そもそも、私は離婚に応じなければならないの でしょうか。また、仮に離婚するとした場合、夫にどういったことを要求できるのでしょ うか。さらに、夫からは、今後、生活費を支払わないと言われていますが、支払ってもら う方法はあるでしょうか。

ポイント

  • 不貞行為をした夫(有責配偶者)からの離婚請求は基本的に認められません。但し、他の女性と関係を持ったのが、夫婦関係が完全に破綻した後であると認められる場合には、夫からの離婚請求が認められることもあります。
  • 不貞行為をした夫からの離婚請求であっても、①別居期間が相当長期に及び、②夫婦間に未成熟の子が存在せず、③妻が離婚により精神的、社会的、経済的に極めて過酷な状態に置かれないと認められる場合には、離婚請求が認められることもあります。
  • 仮に離婚に応じる場合には、財産分与、慰謝料、子供の親権及び養育費並びに年金分割の割合についてそれぞれ合意すべきであると考えられます。これらは当事者間の話し合いによって決めることができますが、内容について後日争いが生じたり、履行されなかった場合のことを考えると、公正証書にしておくのが望ましいといえます。また、当事者間では話し合いがまとまらない場合には、調停手続を利用することも考えられます。
  • 夫が妻や子供の生活費を任意に支払ってくれない場合には、婚姻費用分担の調停又は審判を申し立て、離婚成立時までの生活費の支払を求めることができます。
~子供をめぐる争いについて~
私と夫はともに離婚については合意していますが、子供の親権について争いがあります。 このままでは離婚できないのでしょうか。親権者は夫にして、私が子供を育てるというこ とも考えていますが、何か不都合はあるでしょうか。

ポイント

  • 親権者が決まっていなければ、離婚届は受理されませんので、親権者を決めないまま離婚することはできません。したがって、親権者が決まらない場合には、家庭裁判所に夫婦関係調整の調停申立を行い、その中で親権者をどちらにするかについて話し合いをすることになります。話し合いがまとまらない場合には、審判で親権者を指定してもらうか、離婚訴訟の判決で親権者が決定されることとなります。
  • 父母のいずれを親権者に指定すべきかについて、法律には明確な規定はありません。審判又は判決で親権者を決定する場合は、「子の利益」のためには父母のいずれを親権者にするのが適格かという観点から、裁判所が判断することとなります。
  • 父親を親権者として、実際の子供の養育は母親が行うことも可能ですが、親権者が子供の法定代理人となるので、父親の同意がなければ住民票を移動させられないなど、社会生活上不自由が生じる可能性がありますので、親権者と監護者を別々に定めることは望ましくありません。
  • 仮に、父親を親権者として離婚してしまった場合でも、実際に母親が子供を養育している場合には、後日、監護の継続等を根拠として、親権者変更の審判を申し立てることができます。